じいちゃんの想いの尊さ。
実家に合間見つけて帰ってくる俺とたまに同行する嫁。
昔嫁とまだお付き合いの状態だったとき、俺の実家で祖母に何か頼まれごとしたんだ
それが何だったのか忘れたけど、ばあちゃんは80過ぎた人だから、女は男のこと立てて当然、男は家のことやって当然って考えで
感謝の言葉はあったけど、やって当然という態度だった
ばあちゃんがそんな世代に生きてきたから仕方ないと思う
でもじいちゃんは少し違ってて、家を出てから全く帰ってこない息子(俺父)のことを見てたから
合間見つけて帰ってくる俺とか、そこにたまに同行する嫁のことは好意的に見ててくれてた
手伝いのお礼だって、じいちゃんのお宝の一つ、大正時代のレアなアイテムをくれたんだ
嫁が「それ、かなり高価なものじゃないの?」と言うからネットで調べたら時価総額五万超えてた
俺が携帯見て固まってる横で、嫁は「愛されてるねぇ、お守りがわりに定期入れに入れときなよ」と無くさないうちにしまってくれた
家に帰ってから若かった俺は、ちょっとした手伝いでじいちゃんのお宝を貰った話を周りに話してしまった
金額は話してなかったけど、「お宝なら売れるだろ?売って遊ぶ金にしようぜ!」「小遣いにしろってことだろ?」という反応が返ってきた
俺はじいちゃんがくれたのは気持ちであってお金じゃないと思ってる
婚約指輪は売ればお金になるけど売らないのと同じように、じいちゃんのお宝もそんな位置づけとして見てた
だから他人にはお金にしか見えないんだと思うとショックだった
彼女にこの気持ちを愚痴ったところ
「婚約指輪が何で高価なのか知ってる?」と聞かれた
また金の話かとうんざりしながら知らないと答えると
「もし夫の身に何かあったとき、家族を守れるだけのお金に替えられるようになんだよ
夫は婚約指輪を送ることでずっと家族や奥さんを守ってるんだよ
だからおじいちゃんのお宝は君を守ってくれるお守りだし、いざというときにきっと助けてくれるよ」
と答えが帰ってきた
それ言われたらなんか泣けてきたよ
そんな風に言ってくれたのはあとにも先にも嫁と嫁母だけだった
嫁母に同じ話したときに「お守りがわりやな、大切にな」と嫁と同じことを言ったんだ
こんな人たちと結婚して家族になれたことが最高に幸せだ