そんな機会はない方がいいけど、どうするべきか、どうしたらいいのか?は身を助けることになる。
帰るのが遅くなった真っ暗な公園で、同時に思い出したことがあった。
いまだに友達の間で話題になる私の唯一の武勇伝(?)。
当時私は新卒2年目の教師で、職場まで電車通勤をしていた。
自宅と駅の間には結構広い公園があって、そこを突っ切ると近道になる。
ある日、かなり帰るのが遅くなって、真っ暗な中その公園を歩いていたら、いきなり横から体当たりをくらって吹っ飛んだ。
草原に倒れこんだら、ぶつかってきた相手がすごい力で体を押さえてのし掛かってきた。
うわっこれ変質者だ!と一瞬で血の気が引くも、同時に思い出したことがあった。
ちょうど最近、学校で防犯教室があり、その時きてくれた警察の人から色々話を聞いてたんだよね。
「怪しい人に襲われたら大声を出して助けを求めるのが一番なんですが、普通の人は気が動転した状態で大声なんて出せません。まして『助けて』なんて叫び慣れてない言葉は出てきづらいので、とっさの時は、とにかく言いやすい言葉、自分が大声を出し慣れている言葉を叫んだ方がいいです」
って、そんなアドバイスが脳裏にひらめいた。
次の瞬間、私の口から出たのは、
「気を付け!!前ならえーーーー!!!」
って絶叫だった。
体育のときとかに毎度叫ぶ、一番大声を出し慣れてる言葉だったもんで…。
相手もまさかそんな叫びをあげられるなんて思ってなかったようで、一瞬ひるんだのが分かった。
そこからはもう無我夢中。とにかく叫び続けながら、むちゃくちゃ暴れて変質者に抵抗した。
どのくらいの時間かは覚えてないけど、犬の散歩中だったおじさんと、走り込みしてたお兄さんが気づいて来てくれて、その変質者を捕まえてくれた。
後でその2人に聞いた話いわく、「『前ならえ!前ならえッ!!前ならえっつってるだろぉぉぉーー!!!!』って絶叫してる若い女性が誰かをタコ殴りしてるから、最初はどっちが変質者か分からなかったw」だそう…恥ずかしい…。
とんだ恥をさらしたけど、変質者は無事に警察に引き渡せたし、私もたいした怪我なく済んだ(服が破れたとか擦り傷や引っ掻き傷程度)。
警察の人にはとっさの叫びを誉められたものの、当たり前だが、家族や職場の先生方(後に友人達)には死ぬほど心配されて叱られた。
今だから笑い話に出来ているけど、やっぱりそもそもは当時の私の危機感の薄さが招いたことだよなぁと大反省…。
ちなみに当然だが、今まで児童相手に「前ならえっつってるだろ!」みたいな威圧的な声かけをしたことは断じてないです。
とっさに声を出すのってイメージしている以上に難しい。大声を出せる言葉、そして万が一の時にこのようなアドバイスがあったことをひらめけるよう。