昔、放置子を何名か雇っていた。「どうしたんあんた、」と声をかけたりしていると

見ず知らずの子を受け入れ、信頼に応える子に。

昔、放置子を何名か雇っていた。

「私を命の恩人のようにいうんだけど」

昔の話だけど、今で言う放置子を何名か雇ってたことがある

自分は独身おばちゃんで、今はほとんど働いてないが、当時はくっそ忙しくて、毎日ヒーヒー言ってた。

しかし金はあった。

自宅マンションに夜中に帰ってくると、明らかに中学生みたいなのが玄関で座ってたりして、

どうしたんあんた、と声をかけたりしてるとどうやら、親が彼氏を連れ込み追い出すとか、三日くらい

帰ってきてない、とかで今で言う放置子っぽかった。

服は汚いし、ろくに飯も食ってないし、風呂もろくに入ってない。

今だったら、親も面倒くさそうだし、関わらないのが正解なんだけど、昭和の時代だったからか、家に

来るか、と誘ってしまった。

冷凍うどんをガツガツ食う姿がなんかかわいそうだった。

話聞いてると、どうもその家の親はあてになりそうになく、こりゃさっさとこいつ高校卒業して逃げた

方がええな、と思ったが、高校さえ行かせてもらえそうにない気までする(親が金を出しそうにない)

つーわけで、バイトしてもらうことにした。仕事は我が家の掃除とか洗濯とか、ご飯作ってもらうとか。

今思うと勇者だが、合い鍵渡して、バイト代渡して、家事をお願いした。

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子供はゴミみたいな家にいなくて済んだし、追い出されてもうちで寝てたし、食事は勝手に作って食べていい、

とか言ってたから、健康にもなって、風呂にも入れたし、そうするときちんと学校も行くようになって、

宿題も我が家でするようになって、子供いないのに子供いるみたいな生活になった。

驚きなのは実の親は子供に興味がマジでないのか、ほとんど家にいない子供に何も言わなかったことだ。

その子はうちに半分入り浸りつつ、バイト代を私からもらって、その金をこつこつためて高校に行った。

その子が高校卒業して、家を出て都会で就職をしてから、今度は似たような小学生が現れた。

これは放置というよりいわゆる虐待だった。親に殴られたアザがあった。

小学生をバイトでやとった。殴られない場所が欲しかったらしく、その子は小学生ながらに、掃除洗濯もろもろ

してくれた。バイト代は払った。

中学になったら力がついて、親に殴られっぱなしではなくなった。でもまだ中学生でバイトはできないので、

相変わらずうちにきて料理作ってくれたりしてた。これも後は同じ。高校に行って、卒業して巣立っていった。

二人とも、今も盆と正月には顔を見せに来てくれる。仕事先には実家に帰る、と言って帰省するらしい。

自分は独身だけど、子供がいるみたいで、けっこう楽しかったりするが、今だったら絶対できないな、と思う。

子供達は私を命の恩人のようにいうんだけど、正直この子たちが家事掃除してくれなかったら、家は絶対ゴミ屋敷だったと

思うのでこちらの方こそ当時はありがたかったもんだ。こっちも助かったんだから感謝されるいわれはない。

平成の今なら絶対やれないなあ。よく赤の他人の子供を家に迎え入れたもんだわ私。相手の親に訴えられてて

もおかしくなかったよなあ。

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