「相互理解の第一歩だわ」・「自分には理解できなくとも」
車以外に興味がない職場の男性A、珍しく話に入ってきた上司が彼を変え始める。
職場に車好きのAという男がいる。よく知らないが、古いポンコツを自分でコツコツと修理して走るようにしてるらしい。
この男、車以外にまるで興味がないと公言してて
「女に金かけるとか意味わかんなくないっすか?」
みたいなことを言うウザいやつだった。
ある時、Aがわざわざ既婚者に向かって「化粧品代とかw」みたいな事を言ってると、愛妻家で知られる上司が珍しく話に入ってきた。
「なあ、ちょっと前に車になんとかコートをしたって言ってたが、あれは車のためか? お前のためか?」
「え、俺が好きで車にやってるんで、俺のためでもあるっすね」
「俺の場合、妻が服を買ったり美容院に行ったりがそれと同じ事だよ」
さすが上司、いい事言うと思ってたら
「もちろん子供もだし、Bさんにとっては猫がそうだったりするんだよ」
と愛猫家の人にも触れてた。
Aはぼかんとして聞いていたと思う。
そのうち、Aが変わり始めた。
子供が熱を出して、とか、奥さんがインフルエンザで、とか言う人がいると
「俺が代わりにやっとくんで大丈夫っすよ」
と率先して仕事を肩代わりして早退とか定時上がりを助ける。Bさんの猫が元気がないと言ったら、これも同じようなことをする。
どうやら「自分にとっての車と同じくらい大事なものなら当然」と言う考えに行き着いたらしい。
まあ「大事な奥さんのためじゃないっすか!」みたいなこと大声で言うので、やっぱりウザいのだが。
やってみたことはないが、「推しのライブがあるので」と言っても同じことしてくれそうな気がする。
相変わらず女に興味はないみたいだが、最近、女子社員の間では、あんなに嫌われてた筈のAの人気が、割と急上昇している。