成績が落ちて無気力になった高校時代。担任から父に赤点と留年の可能性を告げられ学んだ教訓
お父様の胆力。希望を感じるストーリー。
著書に『アンティークコインマニアックス』があり『note』にも文章を綴るShelk(@Shelk_Shelk_)さんのツリー。成績が落ちて無気力になった高校時代。担任から父に赤点と留年の可能性を告げられ学んだ教訓。
高校で成績が落ちて無気力になった時期があり、全く勉強をしなくなった。その結果、高2の頃に赤点を幾つも取り、次に赤点を取ったら留年というところまでいった。それから間もなくして学校では二者面談が行われ、担任から父にそのことが伝えられた。私は人生これで終わったと思った。死にたくなった。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 22, 2023
めちゃくちゃに怒られる。勘当されるかもしれない。だが、父はそれを聞いても何も言わず、表情ひとつ変えなかった。教室から出て廊下を歩いている時も何も言わなかった。そして、何事もなかったように学校近くのラーメン屋に入った。ラーメン屋でも終始赤点の内容には触れなかった。私は拍子抜けした。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 22, 2023
めちゃくちゃに怒られ、人生が終わると思っていた。その拍子抜けは喜怒哀楽ではない不思議な感情をもたらした。だが、それからは申し訳なさもあってか自然と勉強をするようになった。無事に留年を免れ、その後は志望校にも何とか合格できた。今振り返ると、これが最強の教育方法だったのかもしれない。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 22, 2023
私は赤点のことで醤油ラーメンが喉を通らずにいた。だが、先ほどの赤点の話は全く話題にあがらず、父は昔この辺で働いていたことがあったんだという昔話を始めた。担任が私の赤点を父に告げた件は、幻想だったのかと一瞬錯覚するほどだった。大人になってから父にその件について訊いてみたことがある。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 22, 2023
だが、父は覚えていないと言った。赤点など本当は人生において記憶するにも及ばないほど些細なことなのかもしれない。誰にでも失敗はある。そして、その状況がまずいことは本人が一番自覚しているのだから、それ以上追撃するかの如く責める必要はないのかもしれない。それが赤点から学んだ教訓である。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 22, 2023
担任から父に赤点と留年の可能性が告げられたことは当時の自分にとっては死の宣告も同然だった。なぜなら、ガリ勉サイボーグ製造工場に勉強ができない不良品は必要ないからだ。それも赤点と留年の可能性とは、とんだポンコツサイボーグである。だが、父の華麗なるスルースキルによって自分は救われた。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 22, 2023
担任は深刻な雰囲気で、私に赤点の問題性とそれに伴う留年の可能性を伝えた。「マジでキミが思ってるほど人生は甘くないし、ここで失敗すると将来を棒に振るよ」と。私は「えっと、はい……」しか言えなかった。考えに考え、最後に振り絞って発した言葉がそれだった。終わっていると自分でも思った。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 22, 2023
叱咤はこの後も続き、私は泣きそうだった。苦笑いすらできず、完全に硬直していた。父は隣で「ふーん」といった感じで座っていて、何も言わなかった。これは相当にキレていて何も言わないのか?とも思ったが、そういう感じでもない。とにかく、30分にも満たない面談が永遠かの如く長く思えたのだった。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 22, 2023
ここで担任と父との両方から責められたら、どうなっていただろう?もしかしたら全てが嫌になり、自己嫌悪に満ちて大人を憎み、挙句の果てにはダークサイドに堕ちていったかもしれない。何かあると強く責め立てる世の中だが、敢えて何も言わずに見守るというのも場合によっては大事な選択かもしれない。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 22, 2023
赤点騒動の一件が過ぎ、何とか留年を免れた私は、気づけば3年生になっていた。受験は間近だった。だが、模試の成績はボロボロ。Eの文字がずらりと並ぶ。クラスの机の上でE判定が並んだ模試結果を溜め息混じりに見ていると、前の席に座っていたクラスメイトが覗き込んできた。「だいぶやらかしてるな」
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 23, 2023
「もうどうしたらいいのか分からないよ。勉強もヤバいけど、実は受験の申し込み方法さえよく分からなくてさ。願書ってどこに行けばあるの?」我ながら受験生としてあるまじきゴミのような発言だった。「なら、もう推薦で学校決まっちゃったし、これ、使わないからあげようか?捨てるのも勿体ないし」
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 23, 2023
そうして、有名私立大学の願書を彼から一通り貰った。「ふざけてるだけで、本気出したら、本当は余裕だろ?本気出してみると意外と楽しいぜ」と彼は言った。「いや、でもキミらとは頭のできが最初から違うよ」「それはないって。やったか、やらなかったか。それだけだろう?」眩しかった。眩し過ぎた。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 23, 2023
勉強もできて良い奴だった。彼から貰った願書を無駄にしないためにも、ちゃんと勉強しないといけないと思った。すると、後ろの席にいた学年一の秀才が「俺も志望校はA判だし、これ全部やるよ。もう使わないし。あと、たまには息抜きもしろよ」と、テキストや赤本の山と一緒に少年ジャンプまで貰った。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 23, 2023
「ジャンプは読み終わったら枕にもなる」と、彼は笑っていた。キミも自分には眩し過ぎる。優秀な彼らは余裕だった。余裕から来る本当の優しさ。既に受験など終わったようなもので、彼らはもっと先のステップを見据えていた。同志たち、ありがとう。キミらのためにも、このままでは終われないと思った。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 23, 2023
教師は受験は戦争、このクラスの全員が実はライバル同士なんだぞと言っていた。違う。私たちはライバルでなく同志。進学という道を目指し、同じ方向を向く同志。受験は椅子取りゲームで全員が座れる椅子は確かに用意されていない。だが、二人の行動は明らかにライバルではなく思いやりそのものだった。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 23, 2023
大学に入って何がやりたいかなんて分からない。分からないけれど今は進むしかない。だが、自分の場合もう時間がない。優秀な彼らのような選択肢は残されていない。でも、選択肢がないからこそ迷いも少ない。一極集中、短期決戦で全てを決める。この細い針の穴を全力で駆け抜ける。この日、そう決めた。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 23, 2023
この時、ひとつのことに気づいた。私は自分のためにはどうやら頑張れない。だが、誰かのためなら頑張れると。親切にしてくれた人や応援してくれた人の気持ちを裏切ることには物凄い抵抗があった。これこそが、自分の原動力だった。エンジンはフルスロットルに入った。マッハで駆け抜ける準備は整った。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 23, 2023
自分は馬鹿で阿呆だった。応用力がなく機転を利かせた発想力もない。だから方法はただひとつ。原始的で古典的だが丸暗記。テキストや赤本、ひとつでも多くのそれらに目を通しパターンを暗記。考える時間さえ惜しいから演習問題は答えを最初から見て丸暗記。暗記、暗記、暗記。テクニックの欠片もない。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 23, 2023
無様な勉強方法だったが、暗記に対しては貪欲だった。剣の切れ味が悪いから重くして叩き割る。出来の悪い盾だから何重にも重ねて堅固にする。そんな感じの醜い勉強方法だった。だが、それが奇跡的に功を成し志望校への合格を何とか果たした。駆け抜けた先にはやはり雨が晴れたような清々しさがあった。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 23, 2023
学校や受験で思い悩むキミたちへ。キミらが抱える胸の苦しみや葛藤は痛いほど分かる。それは私自身だったから。折れてもいいし頑張ってもいい。諦めてもいいし貫き続けてもいい。だってどんなふうに生きても人は後悔する。人は欲張りな生き物だから。だけどここに記したことが何かの糧になれば嬉しい。
— Shelk (@Shelk_Shelk_) June 23, 2023
お父様素敵ですね。愛だなぁ…
— KID@自粛中 (@kid55201104) June 23, 2023
何度も自分のこと卑下してるけど文才すごいやん。お父さん始め周りもすごいけどあなたもすごい。
— あやとり 5歳&3歳 (@ayatori_234) June 23, 2023
長文嫌いの私でも読み耽ってしまった。凄い文才。
そしてお父様は何より、素晴らしいご友人。
きっと貴方自身が素敵な人間だから、素敵なご友人に囲まれるのだろうなぁと思いました。
— あき (@MTmPnUw1CbbS0iv) June 23, 2023
( ´-` ).。oO通りすがり…
誰にでも何か一つは得意分野はある
何歳になっても学校は行けるし
焦る事は無い…と思う…
— あしかみ もうすぐ関西人 (@ashicami) June 23, 2023
うちの父は両親の反対で行きたい大学に行けなかったから、僕には「金は出してやる、好きなとこ行け」って言ってくれました。
今でもその言葉が背中を支えてくれてる気がします。
— 思兼 (@y_omoikane) June 23, 2023
お父様のフィードバック(無言)に対して書かれたような気持ちや感想を抱いて勉強頑張ったという感性を持たれていた事自体が素晴らしいと思いますし、お父様も喜ばしいことと思われているかもしれませんね。
— BUTTONCARNIVAL (@ButtonCarnival) June 23, 2023
自分の味方で居続けてくれる心強さが目に染みました
— sigmoれいわ推し (@signalmore) June 23, 2023