姉家族の家に遊びに行った時のこと。
ドタドタと慌ただしく高2の甥が帰ってきて、姉を見つけるなり
「おふくろ!俺、バスケ部の部長になった!あと、身体測定で身長が180cm越えてた!約束守れよ!」
約束、の言葉に姉が戸惑っていると、甥は忘れたのか!?と、憤慨気味に約束の内容を語り出した。
姉家の末っ子が生まれる前のこと。甥(推定5歳)は、好物のハンバーグが小さいことが不満だった。
特に、父とは倍くらい大きさが違うことが許せず、母に抗議した。
母は、「甥はまだ小さいから小さいハンバーグなんだよ。大きくなったら、大きなハンバーグを作ってあげるよ」と答えた。
すると甥は「じゃあ、お父さんより大きくなったら(180cm以上)、僕の顔くらいの大きいハンバーグにして!牛乳いっぱい飲むから!」と頼んだ。
それに母は「背だけ大きくなってもだめだよ。心も大きくならないと。例えば、みんなから頼りにされるような人になりなさい。そしたら作るよ」と加えたらしい。
その約束を、甥は今日という日まで忘れずにいたわけだ。
綾野剛似で、それなりに反抗期もあって、思春期にありがちなぶっきらぼうで、女子にもてそうな感じの甥が、昔の約束を忘れずに、お母さんのハンバーグに一生懸命だったなんて!
そのギャップに、おかしいのか、可愛いのか衝撃的なのかわかんない感情が渦巻いたけど、甥は今までこのために頑張ってきたんだ!笑っちゃだめだ!と必死にこらえてたんだけど
姉が甥の話を一通り聞いた後、大まじめな顔で
「その『顔くらいのハンバーグ』って今のあんたの顔の大きさ?それとも当時?」
と訊いたところで決壊。笑い死ぬかと思った。
その日の姉家の夕飯は、急遽ハンバーグになり、甥は「高2現在の顔くらいある」特大ハンバーグを食べきったらしい。バスケ部部長すげぇ。