傘と傘がすれ違うとき。
「自分の傘を浮かせたり、傾けたり、少し閉じたりする」と決めている人と、「絶対に自分の傘は動かさない」と決めている人がいる。街ではお互いの勢力が拮抗していた。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) May 13, 2024

コンビニで荷物を送るついでに、自宅の集積所にゴミを出しておこうと思った。通りにでると若葉の香りがした。自転車をこぐ子供に道をゆずった。徐行するパトカーを目で追った。曇り空を見上げた。気がつくと駅前までゴミを持ってきていた。よくありますよね。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) April 25, 2023

頭の中で好きな曲を流したりしますよね。音楽も歌も本物そっくりの音で聴こえますよね。でも、その音量を上げるのが難しいんです。爆音で聴きたくても、音が全然大きくならないんです。あの音量を調節できる人っているのでしょうか。存在するなら羨ましいです。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) March 22, 2023

今、『願い事を一つ叶えてあげる』と言われたら、「口内炎を治して欲しい」と頼んでしまいそうだから、今日は神様に会いたくない。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) July 27, 2016

あくびを気付かれぬよう、口を閉じたままやる人の口はラクダに似ている。ということを発見し、自分もそうなっているのか不安に思い、友達に聞いてみたら「お前はゴリラみたいになってる」と予想を上回る動物が来た。あくびを横に逃がすとラクダ。縦に逃がすとゴリラ。残りの人生はラクダでいきたい。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) December 3, 2012

ミノがいつまでも口の中にある。口の中で８年、味が残るミノがあれば欲しい。寝る前は枕元の小皿に乗せ、起床と共に再び口に頬張る。定期的に温めたりする。味が無くなり、８年経っていたことに気付く。きっと僕は、そのミノとお別れするのが寂しくて、『まだ味がします』と嘘を吐き続けるだろう。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) August 16, 2012

提灯を見ると不思議と落ち着く。自分が日本で生まれたからか、ただの先入観か。暗い外国人を見ると少しだけがっかりしてしまう。粗末な観念だ。ブラジルにも暗い人はいる。嫌々カーニバルに参加してたりする。スペイン、アメリカ、大阪にも暗い人はいて石ころ蹴りながら帰っている。でも皆たまに笑う。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) February 13, 2012

洋食店が、いつもより早く閉まっていたので、近くの蕎麦屋に向かった。入口に設置された消毒液を手に馴染ませていると、次に来たお客さんがそのまま席に着き、すべての席が埋まってしまった。昼食はやめて、目的地の図書館まで歩いたが、改修工事のため休館だった。天気が良くて気持ち良かった。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) March 9, 2023

コンビニに入り、奇抜な髪型の店員さんがいるのを見ると、「ここのオーナーは夢を追う若者に理解があるんやな」と、思ってしまう。偏見やろうけど。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) April 19, 2014

少年が母親に空手の型を全力で見せながら商店街を進んでいた。誰もが道を譲っていた。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) March 3, 2014

タクシーの運転手さんが『夕焼けが綺麗ですね』と先に言ってくれた。相槌を打ったら『こっちから行きましょう』と空が広い道を走ってくれた。夕焼け左折。黄昏右折。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) October 9, 2011

美味すぎる天丼に感動した口を、もうフリスクの味にしている。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) April 22, 2012

月が凄く大きくて感動した。ただ、それを誰かに伝えたいという無邪気な欲求が自分から消滅していて寂しい。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) August 11, 2014

僕は生まれてから、まだ一度も豪語したことがないです。今後も豪語することはないでしょう。なぜなら「これ豪語やな」と思った発言は控えるからです。還暦を迎えたら毎秒豪語します。そうです。今、初めて豪語しました。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) August 15, 2013

吉祥寺で、おばさんに「ピースの又部さん」と声をかけていただきました。おしいです。今はまだ、「綾吉」です。夜に「又部」になります。週末「又吉」に戻ります。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) April 29, 2015

まただ。さっきすれ違った人と、しばらくして再びすれ違った。本来なら気まずい場面だろうけど、そんなこともあるかもと想定していたので僕は大丈夫です。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) January 26, 2012

黄色い車に乗ってる人が、黄色いシャツを着ていた。余程、黄色が好きなのだろう。だけど、夏場は小さい羽虫が沢山寄って来て大変だろう。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) April 30, 2012

初日の出に注目が集まるここ百年ですが、その年の最後の日の入りには挨拶せんでええんかな。どちらかと言うと夕陽に励まされてきた人生なんです。どっちも一緒なんかな。

— 又吉直樹 (@matayoshi0) December 31, 2012